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2006年10月15日 (日)

「濱口さんの思い出」

「濱口さんの思い出」

医療法人 矢津内科消化器科クリニック  矢津 剛

 濱口さんとは10年来のおつきあいでした。そして濱口さんは在宅ホスピスを恐る恐る始めようとしていた僕の背中をそっと押していただいた人物でもありました。信じられないことですが10年前在宅で末期がん患者を看取ることは、まだ無謀な行為と謂われかねない時代でした。恐る恐る在宅ホスピスをやり始めたその頃、いきなりクリニックへ訪れてきて、頑張ってくださいと掠れ声で励まされ勇気づけられたことを思い出します。そのとき濱口さんは、静か物腰にもかかわらず、眼光鋭く迫力がありました。初対面の私にご自分の喪失体験をお教えいただき、ホスピスケアを支援する活動を何故しなければならないのかを語られ、しかも牧師というお仕事をされているのにもかかわらず、布教のための活動でないこともきっぱりお話されていました。それは、達観した宗教者の立場ではなく、悩み苦しむ人の立場からの共感が支える行動でした。

 その後、濱口さんには、NPO北部九州ホスピスケアの会の活動にもご支援いただき、何度か北九州でのシンポジウムも共催させていただきました。この5年間は、この京築地域に施設ホスピスをぜひ作るようアドバイスしていただいていました。幸い、今年アパート型ホスピスとして在宅ホスピス支援ハウス「ひと息の村」が完成しましたが、ちょうどその時、僕に推進するようご指導いただいた在宅ホスピスをご自身がご経験いただき、その後、設立に奔走された北九州医療センターに於いて濱口さんは天堂へ逝かれました。

いつの間にか秋も本番となり、濱口さんを思い出しながら良寛さんの句が重なります。

うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ  良寛

一市民の立場でありながら力強くご指導いただきましたことに深謝するとともに、こころよりご冥福をお祈り申し上げます。

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