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2006年3月25日 (土)

春夏秋冬(ホスピス緩和ケア)

春 夏 秋 冬

――  ホ ス ピ ス 緩 和 ケ ア  ――

 「最近は日本でも、新聞、テレビの報道を通して、ホスピスということばがポピュラーになってきました。しかしホスピスは何であるかという、ことばの概念になると、必ずしも正確に伝わっていないようです。

 ホスピスということばは、ラテン語の(ホスト:Host)と(ゲスト:Guest)という二つのことばが一緒になったものです。(ホスト)とはお客様を(もてなす人)を言い、(ゲスト)とは文字通り(お客様)です。

 歴史的には中世のヨーロッパで修道院が、聖地巡礼をする旅人をもてなしたことが始まりだと言われています。旅の途中でお金がなくなったり、食べ物がなくなったりした人に修道院の門戸を開けて、暖かい食事と一夜の宿を提供しました。

 その後、ホスピスは様々な変遷をたどっていきますが基本的に共通しているのは、その時代、その時代に、もっと援助を必要としているにもかかわらず、ともすれば敬遠されがちな人々を支えて、共に生きていこうという姿勢です。たとえば結核が不治の病であった時代は、その結核患者に、ハンセン氏病が問題であった時は、ハンセン氏病患者に、それぞれに門戸を開いてきました。

 現在では末期の患者さんに、特に、(がん)の末期患者に援助の手をさし伸べていくことが、ホスピスの中心的働きになっています。」

<安らかな死を支える――柏木哲夫著――いのちのことば社発行>参照。

 私自身が、がんの患者さんとかかわりを持つようになったのは(S.48年、49歳)で、ギター演奏が好きな高校2年の男子生徒で、つづいて、私より年長の会社役員さん。肝臓ガン末期の女性、70代で末期の男性でした。当時はまだ新聞もテレビも、ホスピスということばや、ターミナルケアということばも取り上げていなかった頃です。

 がん=死と怖れられていました。

 死亡率は、国民の年間総死亡者数の40%を越えると報道されていました。肝臓がんの女性、ギター好きの少年、会社役員の男性も口を揃えるようにして、私の訪問を拒絶された。にもかかわらず二~三ヶ月後あたりから、私に訪問を要請されるように変わってきました。

 私は、患者さん、家族、遺族とかかわりながら、不安、怖れ、悲しみ、つかの間の喜び、絶望等々の姿から、私のライフワークをホスピス運動へと決定づけました。

 ホスピスは、ラテン語の(ホスト)と(ゲスト)ということばが一緒になったもので、(ゲスト)は今、援助を求めている患者さんであり、(ホスト)は医療者、宗教者、教師、政治家達ということができます。いわば、正三角形の頂点にいて、先生、先生と呼ばれ、それを当然のこととしている人々であって、正三角形の底辺で援助を求めている患者達のことですから、医療者と患者の立場は逆転しています。(ゲスト)は助けを必要としている患者で、(ホスト)は援助の手をさしのばし――もてなし――支える医療者です。援助を求め苦しんでいる患者に、仕えていくのが医療者の基本的な姿勢です。

 (49歳)から、がんの患者さん、家族、遺族とかかわりながら、まず目についたのは、患者さんの肉体的苦痛でした。ベッドの横に座っていて私も痛み苦しみました。患者さんのあらわな痛みは①身体的な苦痛ですが、他にもいろんな苦痛を抱えておられます。その苦痛を知ったのは、直接的な痛みは――これだけでも耐え難いものですが、おおまかに次の4点に分類できるようです。

    ①身体的苦痛   ②精神的苦痛

    ③社会的苦痛   ④宗教的苦痛

 この4点があげられます。この4点に⑤家族の苦痛を加えなければならないようです。

 家族とはいっても、両親、夫婦、兄弟などきわめて近い関係にある人は、愛する者の痛みを、そのまま理解し、その苦痛を私の苦痛として受容することは不可能です。患者への愛がまったくない人であれば、一時的な苦痛はあるでしょう。しかし患者を愛する人であれば、苦しみ、悲しみ、痛みます。これを私は(愛の共苦)と呼んでいますので、あえて患者に共通の苦痛、4点につづいて⑤家族の苦痛を加えました。

 春夏秋冬や講演等で、患者さん、家族の苦痛を紹介してきましたが。私の方も痛みが強くなり、歩行が困難となり、視力もかなり衰えてきましたので、次号より患者の苦痛5点をたどりつつ、御一緒に学んでいきたいと考えています。私の苦痛は他の人の苦痛と違うところが多いと思いますが、みなさんも、この雑文を読まれて、しばらく立ち止っていただければ幸いです。

2006年3月3日  濱口 至

 ときどき私と同一人物と間違える程の男性のがんが進行中です。

彼の諒解を得ましたので、次号から掲載します。お読みいただいて、立ち止まり、自分の一日を見つめて下されば幸いです。

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