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2006年3月25日 (土)

例会報告(患者目線の医療について)

3月の例会報告

-患者、家族が医療者と普段着でがんを語る-

日時:200631日(水)14:0016:05

場所:北九州市小倉北区木町2-12-34 

会場:西安寺

講師:勝本外科日帰り手術クリニック 勝本富士夫院長

演題:患者目線の医療について

主催:「北九州・行橋がんを語る会」

 17年間、北九州市医療センター外科医(肝臓、膵臓、胆嚢を中心とした腫瘍外科)としてご活躍され、昨年5月小倉北区足立にクリニックをオープンされた勝本富士夫さまを講師としてお招きしました。広い西安寺境内には紅白のしだれ梅が3月の雨に打たれて美しい風情を見せていました。今回の例会開催案内は主要新聞のほかタウン紙「リビング北九州」へ掲載(無料)協力していただきました。それらをご覧になって初めてお運びいただいた方など10名超の参加者がひざを交えて双方向で語り合うことができました。

  冒頭「患者目線に立った医療については、クリニックを開業して患者さん、家族の方などとの話し合いを多く持つことができるようになり、良い機会になった」という感想からお話しが始まりました。「診察とは診るだけではなく患者さんの気持ち、社会的背景、経済的背景を察してあげることである」。患者中心の医療・介護をすすめる7つの視点ということについて、マーガレッガータイス氏のペイシェンツ・アイズという専門用語が紹介された。①ハイテク医療が提供できるようになった一方患者を非個人にしていく傾向が進んでいる。②患者は主観的な経験としての病気を問題にしているのに対して、医師は疾患に対して客観的にアプローチしている。③医学という文化にかかわる医療者と、病気という文化を体験している患者との間で、よく話し合い、お互いに理解する必要がある。④臨床における良い関係とは、病院や診断名、病気の経過や予後、最良の治療法について、患者と医療者が合意している関係である(Helman1990)。⑤自分の治療に積極的に参加できる患者ほど回復が良い。⑥患者には質問できるほど多くの知識がない、患者をリードして質問を引き出すのは医療者の義務である。⑦患者が人としてこだわった主観7項目として、

  ・個人として扱って欲しい

  ・誰かが責任をもって見続けて欲しい

  ・なにが起きているのか、起きるのかが分かるようにして欲しい

  ・病気にともなう苦痛を和らげて欲しい

  ・私を気にしてくれる人たちへも気をつかって欲しい

  ・退院した後の不安も気にして欲しい。

 があげられている。

 「インフォームド・コンセントについて、アメリカでは1962年にはそれを義務付ける法律が成立している。日本ではやっと1998年に施行された。主治医以外の医師の意見を聞く、セカンドオピニオン、サードオピニオンを求める医療消費者の声に対して、これに対応する病院も増えている(ひと目でわかる病院業界:梛野順三)」。

 セカンドオピニオンについては、当がんを語る会ではかねてより勝本先生に大変お世話になって相談に乗っていただいています。4月から適応される新しい診療報酬では、患者の求めに応じてカルテなどを提供した医療機関に5,000円が支払われることになって患者が主治医に言い出しやすくなるとのことです。それでも課題はまだたくさんあるようですが、「セカンドオピニオン推進のためには、患者・家族が混乱しないような緊密な医療連携が必要と考え、そのためには連携の間を取り持つコーディネータ的医師の必要性がある」との考えが勝本さまのご意見でした。

 セカンドオピニオンについて82歳男性の場合のケーススタディが紹介されました。

平成1711月、某病院にて8cmの肝臓がんを診断される。高齢なので検査自体することが厳しいとの説明で手術しないで退院。平成181/30腸閉塞で再入院。イレウスチューブで改善。2/21勝本クリニックへ電話相談あり。2/22また腸閉塞となり、2/23下部結腸の狭窄部をバルーンで拡張。腸閉塞が増強する。予後1週間と説明される。手術後セカンドオピニオンの依頼を前医より勝本クリニックへ書いてもらう。人工肛門を作ることを勧めますと返事。2/24他の病院へ転院し2/25人工肛門造設術施行。3/1(今日)より食事療養中。

 報告者所感:この方の事例はセカンドオピニオンが効果的に行われ実行に移された結果、患者さんが救われた珍しいケースだと考えます。今後患者にとってセカンドオピニオン、サードオピニオンが強い味方になってくれる環境を期待するものです。現在そのネットワークは属人的で組織的でないのが残念です。

(文責 田中七四郎)

雨に集ふ目線は低ししだれ梅 烏有

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