« あとがき(2005/12/13) | トップページ | あとがき(2006/1/14) »

2005年12月20日 (火)

春 夏 秋 冬

春 夏 秋 冬

―― 人 生 の四 季 ――

 「起きてごらん!夕陽が美しいですよ」

隣室の妻の声に誘われて、ベッドをおり、カーテンを半分あけました。空は一面の茜色に彩られて、太陽の下が遠い山脈(やまなみ)に触れそうにしていました。「すごいね」と答えて無言のまま、頬づき色の夕陽を見つめました。

 夕陽はその日によって、色、形、位置を変えるものですが、対峙している夕陽の姿は、柔らかく拡大された円形で、遠くの山合いに浮かんでいます。太陽が沈むのは毎日の現象で珍しいことではありませんが、私はこの時、日常とは違った形容に畏敬の念を覚え、天地が奏でる荘厳な営みに包まれていました。

 会報の巻頭に春夏秋冬と呼ばれるコーナーがあって、わがままな私が雑文を書いています。春夏秋冬は文字どおり、12ヶ月を季節ごとに4区分した言葉です。春は思春期、夏は青年期、秋は壮年期、冬は老年期と分類した人がいます。いずれにせよ、春夏秋冬という言葉は長い歳月を経ても、日本人の精神性に深い影響をあたえています。

 いまは、少子高齢化社会で、(65才)以上の男女は高齢者と呼ばれていますが、子供の出生率が(1.2人)ていどで推移すれば、異常な社会現象が予測されます。教育現場では幼稚園児、小学1年児の定数が減少し、教育機関の統廃合が始まりました。国民の平均寿命が、男性(72才)、女性(80才―)となった現在、(65才―)の男、女性を、老年期、高齢者と呼ぶのは、ふさわしくないようです。

 (65才)で定年退職した人の全員ではなくとも、まだまだ(10数年)は現役とあまり変わらない働きができるでしょう。地域社会が必要とするボランティア活動も、あなたの経験と知識によって、もっと活性化することは間違いありません。

 (60代)(70代)で毎日手もちぶさたの人をよく見かけます。

「何もすることがない」「ま、食っていける年金があるから」「もう死んだほうがよい」とつぶやく人もいます。あなたにとって(老い)は人生の夕暮れでしょうか。(老いる)と体力が衰弱し、記憶力も低下しますが、(70代)(80代)の人でも若さを保っている人を見かけます。人生に希望がない人は、身心の老化が早く、希望を持っている人には若さがあります。

 かつて、若い友人達と(人生の四季)をテーマにして、勉強会をしました。(日基版)の(心を考える)シリーズ7冊が参考書ですが、各冊のテーマだけ少し紹介します。

 1.幼児期―心の誕生 いのちは、いのちによって育つ

 2.思春期、青年期―心萌えるとき 生理的にも心理的にも激しく変化

する時期

 3.中年期―分水嶺に立つ心 40才代後半から、60才代前半頃まで 

生産の時、実りの時

 4.老齢期―心に希望を見つめるとき

  (ポウル・トウルニエの言葉より)「職業的生活を終えたなら、第二

の人生活動を始めること。第二の人生活動とは、単なる余暇活動で

も、暇つぶしでもない。真の人間的な心豊かさと生きる意義を求め

て、自分自身を充実させていくような時の用い方」

 ◦死における尊厳とは、死と向かって生きる「今日という日」、他人に

支配され、尊厳が奪われたような存在ではありません。不自由なこと

の多い老いの日こそ、生活における「自己決定」が尊重されなければ

ならない。

 ◦死における人の尊厳は、その死の様相や、末期の状態ではなく、多く

の人の人生の価値を、どのように内なる世界に受けとめ、どのような

死を受容していくかにあるといえます。

 ◦生の挫折として死を迎えるのか、終わろうとする生を肯定的に受容し

つつ、死を迎えるか否かによって、死における人生の尊厳は対照的に

変わるのです。(紹介以上)

11月中旬、茜色の山脈(なみ)に燃えるような夕陽を見たので、「きれいな夕陽だよ」と声をかけて、山合に没するまで2人で立ちつくしました。上旬に観た夕陽より濃い赤色です。12月に入ると、高層ビルに遮られて、沈む直前の夕陽を見ることはできなくなりました。

 我が家は(81才)の私と、(74才)の妻の2人で、子供はいません。ときどき死について話し合います。妻は当然私が先に逝くと考えているようですから、「先生が召天したらお葬式はどうしたらいいんですか」と心配します。「それは私の大切な仕事だから、貴方がうろたえないように準備するよ」と答えます。近況を申し上げますと、毎月2回、主治医の往診があり、毎月3回、訪問看護ステーションから派遣される看護師が来て、問診、体温、血圧測定につづいて、点滴を受けています。また、癌治療のため、バスで他の病院に通院ですが、新年はみなさんと会える機会を考えましょう。

2005年12月4日  濱口 至

|

« あとがき(2005/12/13) | トップページ | あとがき(2006/1/14) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104187/7722799

この記事へのトラックバック一覧です: 春 夏 秋 冬:

« あとがき(2005/12/13) | トップページ | あとがき(2006/1/14) »